オートバイ

　免許とってからずっと一緒だったオートバイが動かなくなってしまいました。修理へ出してみたら以下のようなこと。

　キャブレターは腐食、ガソリンタンクからはガソリン漏れ。リアブレーキはボルトが欠損し調整不可能。タイヤは溝が減ってきて前後両方交換時期。メーターケーブルが断裂してるからスピード計が動いてない。

　ここまではまだ良い。いや良くないけど良い。

　フロントフォークは腐食が進んできてオイル漏れまで秒読み、クラッチは滑ってる、エンジンからは異音がして、フロントブレーキはかかったまま走ってる状態。これはさすがにあかんやろ、と。

　十数万出して直しても後どのくらいもつかわからんとのことで、泣く泣く廃車にする覚悟を決めました。

　今日死に化粧とゆうか、お別れ前に洗車して。こいつのぶんも、とビールを２缶だして。この相棒とも色んな思い出を作ったものだなぁ。

　眠れない夜、あの子の家まで飛ばしたこともあったっけ。終電ないのに会いに行けたのは相棒のお陰だったよな。「また明日って言ったばかりなのに」なんて、とびきりの笑顔を。相棒のライトが余計に眩しくしてくれた。

　初めてあの子を乗せた夕暮れの潮風。相棒のエンジンも僕らの心臓のように高鳴ってたの、はっきり覚えてるぜ。


　カタチあるもの、何時か壊れる。

　今はもう動くことの適わない身の上だけど。

　僕と相棒の立ってるこの道路だけは、あの子へ繋がってる。

　そう思うとまた歩き出せる。