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真夜中、ふたりの作業衣姿の男たちが、トラックの荷台に山積みになった黒いビニール袋を、次々と降ろしていく。
両端をふたりで持ち、投げ下ろすように処分器(と彼らは呼んでいた)へほうり込むが、ふたりであってもそれは重労働に違いなかった。
声を潜め、男たちはつぶやくように話し合う。
「今週は23か」
「先週は19だった」
「減らないな」
「ああ減らない」
「毎週毎週どうしてこうも」
「貯めときゃコストダウンは図れるんだが、組織としては一刻も早く処分してしまいたいみたいだね」
「理解はできるが、俺はこの臭気だけは慣れないよ。マスクをしていても脳髄まで届くこの臭いだけは」
「全く、憂鬱な」
しばらくふたりは黙々と作業を続けたが、最後の1袋に手をかけた時に男の様子が変わった。
「あ、良いこと思い付いた」
どさ。
重量感のある音がして、袋は荷台から転がり落ちた。
死語硬直といってもカチカチに固まる訳ではない。
身体が着地した後に四肢が投げ出される、不気味なリズムが袋の上からでも、わかる。
「おい、おまえどういう…」
「マジで良いアイデアを思い付いたんだ。明日早速にでも組織に掛け合ってみるよ」
止めとけ、おまえもバラされんのがオチだ
嬉々とする相方を尻目に、男はノドまで出た言葉を飲み込んだ。
こいつひとりでこの忌まわしい処分係から解放されるなら。それもアリだ。
翌日。
相方が元気に顔を出したので男は驚いた。間抜け面のそいつが開口1番何を言うのか、男にはわかっていたが、相方が生きている、その事実が、男には最も驚愕だった。
「聞いてくれよ、組織が俺の提案を採用してくれたんだよ」
はっきり言って、こいつの案などどうでも良かった。だが、おかげさまで深夜の死体処理からは遠ざかれそうだ。
報酬ありきの仕事だ。好きこのんでしていた訳ではない。
……組織も酔狂な。
嬉々として語る同僚を尻目に、男はタバコを探すため胸のポケットをまさぐった。
数日後。
両端をふたりで持ち、投げ下ろすように処分器(と彼らは呼んでいた)へほうり込むが、ふたりであってもそれは重労働に違いなかった。
声を潜め、男たちはつぶやくように話し合う。
「今週は23か」
「先週は19だった」
「減らないな」
「ああ減らない」
「毎週毎週どうしてこうも」
「貯めときゃコストダウンは図れるんだが、組織としては一刻も早く処分してしまいたいみたいだね」
「理解はできるが、俺はこの臭気だけは慣れないよ。マスクをしていても脳髄まで届くこの臭いだけは」
「全く、憂鬱な」
しばらくふたりは黙々と作業を続けたが、最後の1袋に手をかけた時に男の様子が変わった。
「あ、良いこと思い付いた」
どさ。
重量感のある音がして、袋は荷台から転がり落ちた。
死語硬直といってもカチカチに固まる訳ではない。
身体が着地した後に四肢が投げ出される、不気味なリズムが袋の上からでも、わかる。
「おい、おまえどういう…」
「マジで良いアイデアを思い付いたんだ。明日早速にでも組織に掛け合ってみるよ」
止めとけ、おまえもバラされんのがオチだ
嬉々とする相方を尻目に、男はノドまで出た言葉を飲み込んだ。
こいつひとりでこの忌まわしい処分係から解放されるなら。それもアリだ。
翌日。
相方が元気に顔を出したので男は驚いた。間抜け面のそいつが開口1番何を言うのか、男にはわかっていたが、相方が生きている、その事実が、男には最も驚愕だった。
「聞いてくれよ、組織が俺の提案を採用してくれたんだよ」
はっきり言って、こいつの案などどうでも良かった。だが、おかげさまで深夜の死体処理からは遠ざかれそうだ。
報酬ありきの仕事だ。好きこのんでしていた訳ではない。
……組織も酔狂な。
嬉々として語る同僚を尻目に、男はタバコを探すため胸のポケットをまさぐった。
数日後。
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