忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 あいつは、ちょっと変わった奴、で有名だった。

 誰が呼びかけても返事をしない……というか無視するのだと。そんな風に聞いていた。
 放課後、道路の真ん中で虚な目をして空を眺めているのを見た時、あぁこいつがあの変人かと妙に納得したものだ。
 あいつの目は、俺が直線道路であいつに気付いてから、奥の角を曲がる時までずっと、微動だにせず黄昏色のままだった。
 
 寒空の下でも桜は満開で、辛うじて季節は春だと認識できる。真っさらの制服の上に真冬のコートを着ていた。季節柄、こういう奴って増えるもんなのか、なんて考えたのを記憶している。

 あいつが同じ写真部だと気付いたのは今日。
 クラブの自己紹介の時だった。あいつは自分の名前さえ話せずに困った顔をしていた。
 嫌悪感を隠さない人間も少なからずいるようだった。
 一緒に活動したくないだのなんだのヒソヒソと声が聞こえた。写真部なんだしそれほど活動に影響ないんじゃね?と俺は思った。それより写真部に入ったのに自分のカメラがない事の方が気になっていた。
 ひとしきり部長の説明が終わり、今日は自由に撮りに行こうとなったようだ。俺はカメラのカタログをずっと見ていた。
 まだ桜も咲いているし、学内は真新しい景色だらけだ。カメラがあったらさぞ楽しかったろう。
 みんなが出ていった後も、俺はカタログを見ていた。スペックの比較に熱中していてひとりきりになっていることに気付かなかった。
 いや、ひとりじゃなかった。顔をあげるとあいつがいた。気付けば部室でふたりきりだった。

 目が合うとあいつは近寄ってきて俺の顔を覗き込んだ。

「……?」

 なんだ?
 手話ではない。身振り手振り、ジェスチャーだけで何かを伝えようとしているようだが、声は全く出てない。

「私 と、 つ き あ わ な い ?」

 だが俺には伝わってしまった。あいつは嬉しそうに首を縦にぶんぶん振った。
 なんてこと言う奴だ。初対面でこんな不意打ちがあるか。こいつ馬鹿じゃね?と思ったが、反射的に頷いていたオレもまた馬鹿みたいだった。

「おっ、俺でよければ…」

 彼女いない歴イコール年齢は、たった今瞬殺された。それは人生の華には違いない。サクラサクとか、なんとか、男女の事柄には使わない言葉だっけ。ああわからなくなってきた。
 
 だが、あいつについて思い出してみると、変人で名高いあいつ、という事実にも違いはないのだった。今なら、「やっぱ撤回!」とか言えるだろうか?……いや、無理だ。なんかめっちゃ喜んでるし。あいつは、歓喜のダンス?とでも名付けるべき踊りを踊っていた。

 言いようのない不安を感じる。

 桜の木の下には何かが埋まっているらしい。
 よくぞ言ったものだと思う。あいつには、俺の桜の木の下には、一体何が埋まっているのだろう、と考えた。

拍手[0回]

PR
 最近4年生に囲まれます。困っています。
 これがまた女子ばかりなのです。困っています。
 毎朝毎朝、職員玄関の前で待ち伏せされているのです。困っています。
 7~8人いるのに不思議とかわいい子ばかりなんです。困っています。

 よってたかってじゃれてきます。抱き着いてきたり背中にのしかかってきたり、両脇からひとりずつ腕をからませてきたり、身体的接触が非常に多いのです。

 本当に困ってしまいます。

 そんな今日この頃、昨日見た夢。

 私てらさわの勤める自治体では7年ルールというのがあって同じ学校で勤めて6年経つと必ず異動になる決まりになっているので現4年生が卒業後せっかく訪ねてくれたのに異動になっててちょっと寂しいとゆう話。



「で、読んでいて読者はどのへんがおもしろいのかしら?」

うわあびっくりした。おや、あなたは一昨年の卒業生で、私がちょっとでもかわいい子に目をつけるやいなや顎をもいだり腸を引き出したりしてこの1年私を惨殺し続けブログを更新させなかったさくらさん13歳。

「はい、お待たせ。頬骨が折れる音が好きです☆さくらです☆」

いや、そんなつかみはいらないから。てゆうか人のブログに口出ししないでください。あと私を惨殺しないでください。

「やかましい。歳のわりに小さいのからふくらみかけまでよりどりとか全力でキモい。こういちがリア充とかそんな一生分の運を使い果たすような奇跡がおきたら死んで当然なのよ。」

な、なんか納得。

「物事は鏡見てから述べなさいよね。冗談みたいな顔して。あと、今ちやほやされてるからって今日びのこどもは飽きるのも早いから。大人っぽいコにはひと月もたずにこういちなんか飽きられちゃうのよ可哀相。ポイ。」


 さくらさん、紙屑を丸めて捨てるそぶり。うなだれる私の髪を掴んで乱暴に顔をあげさせ、合わせた目を細め、心底憐れむような声で。

「ホント、可哀相なこういち。あなたは、水溜まりで藻掻く、羽虫のよう。」

拍手[0回]

 真夜中、ふたりの作業衣姿の男たちが、トラックの荷台に山積みになった黒いビニール袋を、次々と降ろしていく。

 両端をふたりで持ち、投げ下ろすように処分器(と彼らは呼んでいた)へほうり込むが、ふたりであってもそれは重労働に違いなかった。

 声を潜め、男たちはつぶやくように話し合う。


「今週は23か」

「先週は19だった」

「減らないな」

「ああ減らない」

「毎週毎週どうしてこうも」

「貯めときゃコストダウンは図れるんだが、組織としては一刻も早く処分してしまいたいみたいだね」

「理解はできるが、俺はこの臭気だけは慣れないよ。マスクをしていても脳髄まで届くこの臭いだけは」

「全く、憂鬱な」


 しばらくふたりは黙々と作業を続けたが、最後の1袋に手をかけた時に男の様子が変わった。

「あ、良いこと思い付いた」


どさ。


 重量感のある音がして、袋は荷台から転がり落ちた。

 死語硬直といってもカチカチに固まる訳ではない。
 身体が着地した後に四肢が投げ出される、不気味なリズムが袋の上からでも、わかる。

「おい、おまえどういう…」

「マジで良いアイデアを思い付いたんだ。明日早速にでも組織に掛け合ってみるよ」


止めとけ、おまえもバラされんのがオチだ


 嬉々とする相方を尻目に、男はノドまで出た言葉を飲み込んだ。

 こいつひとりでこの忌まわしい処分係から解放されるなら。それもアリだ。

 翌日。

 相方が元気に顔を出したので男は驚いた。間抜け面のそいつが開口1番何を言うのか、男にはわかっていたが、相方が生きている、その事実が、男には最も驚愕だった。

「聞いてくれよ、組織が俺の提案を採用してくれたんだよ」

 はっきり言って、こいつの案などどうでも良かった。だが、おかげさまで深夜の死体処理からは遠ざかれそうだ。
 報酬ありきの仕事だ。好きこのんでしていた訳ではない。

 ……組織も酔狂な。

 嬉々として語る同僚を尻目に、男はタバコを探すため胸のポケットをまさぐった。



 数日後。

しかコロッケ

拍手[1回]

 毎日会うのが当たり前だった。
 学校がない日でも遊ぶんだから、そりゃもう、会わずにいる日なんてほとんどなかったんだ。

 卒業して進学するってのは、キミの成長や発達なんだから。だからうれしいことだし、そうならなくっちゃいけないことだと思ってた。
 でも、いなくならないと、喪失感を現実のものとして実感できなかった。

 新しい学年新しいクラス。
 クラスのこどもの数が減ったから、前から5列目廊下から3つ目、きみが座っていた席はもう、ない。

 ずっときみの先生でいたかった。

 そんなこんなで過ごした日々が寂しくて仕方なかったから。

 少し大きめの真新しい制服を着て、教室を訪ねてくれたきみに、だから流れた涙だったなんて、説明できる訳なかったんだ。

拍手[1回]

1年と12日ぶりです。てらさわです。

 ちょっとさくらたんの監視(カラスやら猫やらに因る)が厳しく、日記すら書けない日々でした。
 苦しかった。
 クリックして開こうとしただけで、人体くんよろしく両腕の筋肉繊維が綺麗に見えるくらい皮膚を削がれたり、ってのはまだマシな方で、なんしか半殺しですから。

 さくらたんが卒業して1年。色んなことがありました。
 ここにもアクセスがちょいちょいあったようです。関芽くんでしょうか?「関芽くんだけ」以外だとすると、一体誰が何を見に来ているのか非常に興味がありますが、知るための努力をする気は一切なかったり。あとは何もありませんでした。

 最近、形になりそうなネタを集めて組み立てています。
 不可思議少女。
 関芽くんの古いネタですけど、なかなか良い設定だと思って利用しています。近いうちに形になりそうなのですよ?

拍手[0回]

リンク
最新コメント
[05/16 backlink service]
[07/25 さくら]
[07/24 ノンケ]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
てらさわこういち
性別:
非公開
自己紹介:
しょうがっこうで働いています
カウンター
忍者ブログ [PR]